電話

夜8時前、母から電話。
15分ほど前から、父の意識がないという。
まず、弟の携帯の電源を切らないように言い、
すぐに支度をし、娘たちをつれて家をでる。
もう一度、話がしたい!
その思いだけが、私を動かす。

落ち着け、大丈夫だから!と自分に言い聞かせるが、
東北本線の中では、涙があふれてとまらなかった。
子供たちはそんな私を、心配そうに無言で見ている。


新幹線の中では3人で
‘おじいちゃんの思い出を順番に語るごっこ
という遊びをした。
子供達に父のことを、少しでも覚えていてほしくて。


夜11:30、最寄り駅まで弟が迎えにきて、ようやく病院へ。
薄暗く、酸素吸入器の音だけする個室に父はいた。
すぐに父の耳元で、一生懸命呼びかけるが、反応なし。
でも、耳は最後まで聞こえているんだもん、わたしの声届いてるよね。