車いすデビュー


午前中、病院に顔を出すと、父はベッドで将棋をしていた。
夜中に便がでて、すっきりしたらしい。やった〜。


調子も良さそうなので、一階まで行ってみないかと誘うが、
やはり少し歩いただけで、苦しくなってしまう。


看護師には止められたが、どうしても父と散歩したかったので、
むりやり車椅子を借り、父を乗せ、
玄関を出たり、屋上に行ったり、あちこちまわる。
不思議と、私の心が、おだやかになっていく気がした。
乗ってくれてありがとう。押させてくれてありがとう。


父は、この呼吸困難の症状を、気管支炎だと信じている。
気管支炎が治らないと、家に帰れないなぁ、と言ったり、
お正月のこととか、来年の免許証更新のことを心配したり。
さらに、いつも看護師さんや、同室の人に気を遣って、
いろんな事を我慢したりする。


現在、かなり危険な状態だと思うのだが、基本的にのんきだ。
もっと、自分のことを考えて、母を悲しませないで、と思う。


今日は、宮城に帰る日。
父の姿をしっかり目に焼き付ける。